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狙われているからこそ知るべき、DDoS攻撃の4つの種類

もはや全てのWebサイトがハッカーに狙われているといっても過言ではない時代です。特にDDoS攻撃は、政府機関や自治体からエンタープライズのWebサイトに至るまで、対象や規模に関係なく被害を起こしています。しかし、被害をただ受けているわけにはいきません。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉の通り、敵を正しく理解することこそが被害を防ぐ近道なのです。そこで今回は、DDoS攻撃を4つの種類に分類し詳しく紹介したいと思います。

 

手口によって分類される、DDoS攻撃の4つの種類

DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃とは普通「数十台から数百万代のPCをリモート操作し、特定のWebサイトに同時に接続させ、短時間で過負荷を起こす攻撃」を意味します。最近シャープがマスク販売を始めた際、Webサイトがダウンした(引用: PHILE WEB)事件をご存知でしょうか。このように多数の人が一つのサイトにアクセスする場合、サーバの能力ではすべてのリクエストを処理できずWebサイトの動作が止まる、というケースが頻繁に起きています。そして、そのような現象を人為的に作り出すのがDDoS攻撃です。

しかし、すべてのDDoS攻撃が同じような形で行われるわけではありません。その手口によって「ボリューム攻撃」、「プロトコルを狙った攻撃」、「アプリケーション層攻撃」、そして「混合型攻撃」に分けられます。

ボリューム攻撃

ボリューム攻撃はDDoS攻撃の中でも最も一般的な形です。正常なトラフィックさえもWebサイトに接続できないようにすることが目的です。ハッカーはインターネットに繋がった多数のPCを利用します。そして、目標とするサイトで定められている量以上のトラフィックを送信し、サーバが使うことのできる帯域幅を封鎖します。

代表的な例としては、「UDP Floods」を挙げることができます。UDP(User Datagram Protocol)とは、セッションを持たない、つまり応答を待たないネットワークプロトコルです。IP(Internet Protocol)製品群には必ず存在するのでハッカーに利用されやすい、という特徴を持ちます。ハッカーはUDP Floodsを実行するため、まず対象となるホストのポットを奪取し、さらに多くのUDPが受信されるようにします。その結果、リクエストをシステムが処理できないほど受信されるトラフィックが増え、サーバがダウンします。

プロトコルを狙った攻撃

プロトコルを狙った攻撃(以下プロトコル攻撃)はボリューム攻撃と違い、帯域幅ではなくサーバのリソースを消耗させる形をとります。またその攻撃目標も、ファイアウォールやロードバランサなど、サーバとWebサイトを繋ぐ「中間通信装備」をターゲットとします。ハッカーは対象となるサーバのリソースを使用するため、まず不正なプロトコル要請を作成し、Webサイトとサーバのリソースを掌握します。
代表的な例としては、「Smurf DDoS」を挙げることができます。ハッカーは目標となるサーバから奪取したIPを含む、ICMP(Internet Control Message Protocol)パケットを悪用します。特にその中でも、メッセージおよびデータパケットをネットワークシステムに転送する際に使用される「IPブロードキャストアドレス」が主に利用されます。基本的にネットワークに存在するほとんどの装置が応答するように設定されている、という特徴を持ちます。ハッカーはまず、目標とする装備のネットワークにターゲットとなるデバイスのIPブロードキャストアドレスを転送します。よってネットワークに存在するデバイスの数が十分に多い場合、被害者のデバイスにトラフィックが集中し、サーバがダウンします。

アプリケーション層攻撃

アプリケーション層攻撃は、その名の通りアプリケーションの脆弱性を攻撃する形です。Apache、WindowsやOpen BSD等のアプリケーションが主なターゲットとされます。一般的にボリューム攻撃およびプロトコル攻撃よりも少ないリソースを要します。また、特定のアプリケーションを対象にするため、把握しにくい場合があります。主にオンラインコマースなど、特定のWebサイト機能をターゲットに行われるケースが多数発見されています。ハッカーはユーザのトラフィック行動を模倣し、一見正常に見える多数のリクエストを送信してサーバを麻痺させます。

代表的な例としては、「Slowloris」を挙げることができます。一つのWebサーバを通じ、他のサーバも麻痺させる手口です。ハッカーが利用するのは「HTTPヘッダ」です。HTTPヘッダはクライアントとサーバが情報を交換できるよう許可する役割を随行します。ハッカーはまず、ターゲットとなるサーバに接続し部分的なリクエストのみを転送して、多数のサーバへの接続をできるだけ長く保留させます。その後、多数のHTTPヘッダに対する部分的なリクエストのみを持続的に転送します。サーバが処理できるリクエストの最大値を超えるにつれ、リクエストを処理できないようになり、サーバがダウンします。

混合型攻撃

多数のDDoS攻撃はボリューム攻撃、プロトコル攻撃、そしてアプリケーション層攻撃という3つの分類に収まります。しかし、DDoS攻撃は毎分毎秒精密に、そしてさらに巧妙に進化しているので、全ての攻撃をその中に含めるのは不可能です。実際、混合型攻撃は最近最も多く発見されている手口です。その言葉通り、二つ以上の攻撃を重ねた形で行われます。

代表的な例としては、プロトコル攻撃を仕掛けて注意を散らし、アプリケーション層攻撃を追加的に行うケースを挙げることができます。アプリケーションの脆弱性を探し出す過程には時間がかかるため、まずターゲットを混乱させた後時間を稼ぐのです。その他にも多数の混合型攻撃が発見されており、その頻度や被害規模が増加している状況です。

 

最後に

DDoS攻撃は、この先にも絶えず発生するでしょう。その被害から逃れるには、「うちのWebサイトは安全だろう」と言った甘い考え方から脱却する必要があります。徹底した備えこそがWebサイトと企業の情報を守る第一歩です。DDoS対策として企業側で最も簡単に取れる対策としては、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の導入が薦められます。

ペンタセキュリティはWebアプリケーションレベルでのDDoS攻撃へ対応できるクラウド型WAF、「クラウドブリック」を提供しています。高セキュリティを保ちながらも、中小企業でも手軽に導入できます。DDoS攻撃を防御するための合理的な対策を、下のリンクを通じご確認ください。

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ハッカーの高速道路、知らぬ間に組み込まれる「バックドア」

「泥棒」という言葉に、どのようなイメージを思い浮かばれますか。顔を隠し風呂敷を背負って、裏口を静かに通り過ぎて家に侵入するキャラクターが泥棒の代名詞ですが、サイバー空間での泥棒であるハッカーにも同じようなイメージが当てはまります。Webサイトに忍び込み、金銭を狙って情報を盗むハッカーは「バックドア」と呼ばれる裏口を設置し、忍び込んで情報を奪取するのです。そこで今日は、バックドアとは何か、そしてどのようなセキュリティ対策をとれるのかを紹介します。

 

ハッカーの代表的な手口、「バックドア」とは

「バックドア」とは正規の認証プロセスを経ず迂回して、製品やシステムまたはアプリケーションに接続する方法です。主に設計や開発の段階で意図的に作られます。しかし、ハッカーはこれを悪用し情報を奪取するための「通路」として利用します。特にシステムネットワークを経由して他のPCを攻撃する「リモート攻撃」の手段としてよく使われています。デバイスの持ち主に認識されることなくシステムに侵入できるので、被害が実際に発生しないとバックドアの存在を認識できないケースが多く、とてつもない被害が発生しかねます。逆にハッカーにとっては、いったん設置に成功さえすれば楽に大きな利益を狙えるということになるのです。そのためハッカーは、バックドアを設置するため様々な手段を駆使します。代表的な2つの手段を見てみましょう。

トロイの木馬

ギリシャ神話によると、ギリシャ連合軍はトロイを滅ぼすため「トロイの木馬」を建造したそうです。外見は無害なものに見えましたが、中には武装した兵士が潜んでいました。サイバー空間でのトロイの木馬も、同じように作動します。一見「使えるプログラム」に見えますが、実際にはユーザをだますソフトウェアが潜んでいるのです。主にメールの添付ファイルやWeb情でダウンロードできるファイルとして流通され、ユーザが何も考えず実行するとすぐさまバックドアを設置します。ScanNetSecurityによると、最近にはPCプログラムの形だけではなくスマホアプリの形でも流通されるなどその手口がさらに巧妙化されており、格別な注意が必要とされます。

Webアプリケーションを狙った攻撃

Webアプリケーションの脆弱性を狙ったハッキングは、Webの使用頻度が増加するにつれその威勢を増しています。OWASP TOP10は、その多数がWebサイトのコードを悪意的に改ざんして隙を狙う形だと報告しています。代表的な例にはコードに対するハッキングである「SQL Injection」を挙げることができます。これはバックドアを設置するための足がかりになりえます。例えば、トロイの木馬が含まれたプログラムをWebサイトに不正アップロードすることなどが可能になります。その他にもCross-Site Scripting(XSS)を通じバックドアを設置するソフトウェアを拡散するなど、様々な手段がバックドアを設置するため使用されています。

このような手段で設置されるバックドアは単に情報を奪取するだけではなく、他のデバイスに対する攻撃に使われるなど、様々な被害をもたらす可能性があります。

 

ハッカーの通行を防ぐ方法

あなたならどうやって裏口から潜みこむ泥棒を防ぎますか。裏口を閉鎖してしまう方法もあれば、セキュリティ業者と契約し監視カメラを設置するという方法もあります。しかし、「物理的な通路」が目に見えない、サイバー空間のハッカーはどう防ぐのでしょうか。実は、ハッカーの通行を防ぐ方法は驚くほど現実世界と似ています。

裏口を閉鎖する: 既に設置されたバックドアを塞ぐ方法

既に設置されたバックドアを除去する方法は、現実世界で裏口を無くす方法に当てはまります。現在使用されているほとんどのOSとソフトウェアにはセキュリティーホールが点在しており、100%安全だと言い切れない状況です。例えば、マイクロソフトは2020年8月にもWindowsを含む多数のソフトウェアから脆弱性が発見されたと報告しています(引用: Impress Watch)。もちろん開発する側も設計過程から脆弱性を排除するための手を加えていますが、それにも関わらず新しい脆弱性が発見されているのです。よって、常に最新パッチやアップデートを適用する必要があります。特にベンダーから公開された脆弱性は多数のハッカーに目を付けられる可能性があるので、できるだけ早く対処する必要があります。

監視カメラを設置する: バックドアを未然に防ぐ方法

泥棒を防ぐために最も徹底しなければいけないのは、「泥棒に対する意識」です。常に鍵の掛かり具合を確認し、窓がよく閉まっているのかを確認するなど注意を注ぐ必要があります。ハッカーに対しても、同じことが言えます。「セキュリティに対する意識」が重要なのです。怪しいWebサイトに近づかず、正体が確認できないファイルを開かないという事を徹底するべきです。

しかし、一個人がいくら努力をしようと、一から百まで全ての可能性を考慮するのはほぼ不可能です。そのため、現実世界ではセキュリティ企業と契約し、監視カメラを設置するなど様々なセキュリティ対策を取ります。サイバー空間でも、同じくセキュリティ企業と契約することができます。そして一番怪しいと思われる場所に監視カメラを設置するように、一番危険な領域からセキュリティ対策を取っていくのです。よって、最近攻撃が最も多く発生しているWebアプリケーションの安全を守ることが、もっとも合理的な判断になるでしょう。

WAF(Webアプリケーションファイアーウォール)はWebアプリケーションを防御するためのセキュリティ対策であり、ネットワーク上で防御と監視を同時に行います。単純に脆弱性を保護するだけではなく、通信を監視し怪しい接近を遮断するのです。最新パッチを適用しづらいWebアプリケーションを守り、SQL InjectionやXSSなどバックドアを設置するため用いられる攻撃の存在を監視します。そのため、WAFはWebアプリケーションを通じバックドアを設置しようとするハッカーを防ぐための、最も総合的で最も確実な対策だと言えるでしょう。

 

最後に

ハッカーの攻撃は、現実世界の泥棒がもたらすものよりもはるかに莫大な被害をもたらします。特に自分のパソコンなどにバックドアが設置された場合、一回に止まらずいつでも情報を盗まれる可能性が高く、他人を攻撃する踏み台として利用される可能性も十分存在するので、被害規模は予想すらできません。そのため、バックドアに対して格別な注意を注ぐ必要があるでしょう。
ペンタセキュリティは簡単に利用できるクラウド型WAF「クラウドブリック」を提供しています。Webアプリケーションの脆弱性を通じバックドアを設置しようとするハッカーを効率的に防ぎ、リモート攻撃までも防御する最善の対策です。リンクを通じ、詳細をご確認ください。

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情報流出事故1位のWebアプリケーション攻撃、セキュリティ対策は?

楽天市場で買い物をしたり、必要な情報をグーグルで調べたりなど、日常生活の半分以上がWebを通じ行われているという言葉がもはや過言ではない時代です。企業にとっても、オンラインビジネスは今や当たり前になっています。しかし、Webがメリットだけをもたらすわけではありません。Web、その中でも特に「Webアプリケーション」を狙ったサイバー攻撃が増加しており、いつ事故が起こってもおかしくない状況なのです。そこで今回は、Webアプリケーションを守るべき理由と、企業が手軽に取れる対策である「クラウド型WAF」について説明していきます。

 

ITシステムの安全には、アプリケーション領域のセキュリティが必須

Webアプリケーションが属するアプリケーション領域は、ITシステムの中でもユーザと最も近い領域です。よって、ハッカーには格好のターゲットとなっています。実際、2019年に発表された「IPA 情報セキュリティ白書」でも「Webアプリケーション攻撃」が情報流出事故の1位を記録しており、より強固なセキュリティが求められている状況なのです。

引用: IPA 情報セキュリティ白書 2019

まず、ITシステム全般のセキュリティから見ていきましょう。データの送受信が行われるネットワーク領域では、IP/Portに対する接近の制御や、有害なトラフィックの検知などのセキュリティ対策が行われます。システム領域には身近なWindowsなどのOSが含まれており、アプリケーションが作動するためのプラットフォームの役割を果たしています。システム領域に対しては、一般的にセキュリティパッチの適用、システムの不正コード探知などの対策が行われます。


それでは、アプリケーション領域に対してはどのようなセキュリティ対策を取るべきなのでしょうか。アプリケーション領域ではWebサイトやアプリケーションなど、一般的に利用されている機能やサービスが作動しており、データを保存・利用するケースが多く見られます。特に、Webアプリケーションには膨大な量のデータが蓄積されていることが多々あります。そのため、ハッカーのターゲットになるケースが多く見られるので、より強固なセキュリティ対策が必要になってきます。しかし、ネットワークやシステム領域に比べるとまだセキュリティに対する意識が浸透しているとは言えない状況です。企業が取っている代表的なセキュリティ対策としては、WAFを挙げることができます。

 

Webアプリケーションセキュリティを担うWAF

WAF(Webアプリケーションファイアーウォール、Web Application Firewall)はその言葉通り、Webアプリケーションを防御するセキュリティ対策です。ダイレクトに迫る攻撃を防御する他にも、情報流出やWebサイトの偽変造を防ぎます。現在様々なWAFが市場に出回っていますが、その形によって大きく「アプライアンス型WAF」、「ソフトウェア型WAF」、「クラウド型WAF」の3種類に分かれます。

アプライアンス型WAF

アプライアンス型WAFはハードウェアにて運用されます。WAFの基本形だと言えるでしょう。サーバのすぐ隣に設置されるので、迅速な処理速度と高い性能を誇ります。

ソフトウェア型WAF

ソフトウェア型WAFは物理的なハードウェアを利用せず、仮想マシン(VM, Virtual Machine)の形で運用されます。クラウド上で作動するシステムが注目されていますが、それに合わせWAFを利用できるようにしたものです。

クラウド型WAF

クラウド型WAFはクラウド上に設置されたWAFをサービスとして利用する形です。つまり、WAFのサブスクリプションサービスと言えるでしょう。物理的な機器及びハードウェアを利用する必要がないため、簡単にWAFを利用したいというユーザに利用されています。例としては、ペンタセキュリティのクラウドブリックを挙げることができます。

この中でもクラウド型WAFは「便利さ」と「合理的な価格」という特徴を持つため、数々の企業から注目されています。アプライアンス型WAFやソフトウェア型WAFと違ってDNSを変更するだけで簡単に設置でき、管理費やアップデート費用などの追加コストを要しないため、実際に多数の企業から利用されています。クラウドブリックもまた、国内の5,500個以上のサイトを保護しています。

 

ロジックベース検知エンジンでセキュリティを担う、クラウドブリック

クラウドブリックはアジア・太平洋マーケットシェア1位である「WAPPLES」のエンジンを搭載したクラウド型WAFです。「便利さ」と「合理的な価格」という特徴を通じ、多数のお客様から高い評価を得ています。DNSの変更だけでサービスを利用でき、ユーザ様の状況に合わせ様々な料金プランを提供しています。しかし、クラウドブリックの特徴はそれだけではありません。クラウドブリックの最大の武器は「攻撃を論理的に分析・判断し防御する」という機能です。

多くのWAFは「シグネチャマッチング」という技術を使用しています。事前に作成されたリストを参照し、トラフィックを検査する方法です。しかし、クラウドブリックはロジックベースの「ロジックベース検知エンジン」を搭載しており、ルールに従って攻撃を検知します。シグネチャマッチングを利用するWAFの場合には、リストに存在しない攻撃を防ぎきれないケースが見られます。しかし、クラウドブリックはロジックベースで攻撃を徹底的に分析するため、ゼロデイ攻撃などの未知の攻撃にも適切に対応することができます。その他にも、DDoS遮断やSSL証明書の無料発行など、Webサイトを安全に保護するための総合的機能を備えています。

 

最後に

Webアプリケーションはこの先にも様々な用途で利用されるでしょう。しかし、セキュリティ対策が施されていないWebアプリケーションは、ハッカーの獲物にすぎません。クラウドブリックはクラウド型WAFのメリットである便利さと合理的な価格に加え「知能的に働く」ので、多数のお客様から高い評価をいただいています。クライアントの情報を守るため、そして会社のイメージを守るためにもセキュリティ対策が必要な今、無償評価でクラウドブリックをお試しください

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WAFを選ぶ際、チェックすべき4つのポイントとは

近年、企業のWebアプリケーションの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が多発し、その有用なセキュリティ対策としてWAF(ワフ)を導入する企業が増えています。現在色々な製品が市場にでていますが、どういった基準で選定すべきなのか、今回はWAFを選ぶ際に見るべき4つのポイントを中心にお届けします。

 

ウェブ脅威を可視化し遮断するWAF(ワフ)

WAFはWeb Application Firewallの略で、Webアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃からWebサイトを保護するセキュリティ対策です。Webサーバーの前段に設置して通信を解析・検査してWebサイトを保護し、不正ログインを防ぐ役割で用いられます。Webサイトやインターネット上のサービスは今や重要な社会インフラとなっています。オンラインショッピング、ネットバンキングを始め、ゲーム、SNSなどエンターテインメントでの利用、企業間での受発注などビジネスでの活用等、Webサイトの活用はどんどん広がっています。そうした社会インフラとしての拡大に伴い、Webサイトはサイバー攻撃の格好のターゲットにもなっています。

引用:JPCERT/CC

 一般社団法人JPCERT コーディネーションセンター(JPCERT/CC)による最新のインシデント報告対応レポート(2020年4月1日~2020年6月30日)によると、フィッシングサイトに分類されるインシデントが73.9%、スキャンに分類されるシステムの弱点を探索するインシデントが13.8%、Webサイトの改ざんによるインシデントが4.1%を占めています。ここで脅威の1位に位置するフィッシングサイトのインシデントは、この期間で3,839件発生しています。クロスサイトスクリプティング(Cross-site Scripting、XSS)攻撃やSQLインジェクション等を用いて信頼できるWebサイトに悪意のあるスクリプトを埋め込んだ後、フィッシングサイトへ訪問者を誘導し、マルウェアに感染させたり秘密情報・個人情報の漏えいを起こしたりします。また、対象のウェブサイトを改ざんすることも可能です。企業がもしこうした攻撃を受けた場合の被害はかなり深刻なものとなりますが、WAFを用いる事でこうした高度なサイバー攻撃を防御することも可能になります。

 

WAFを選ぶ際に見るべき4つのポイント

1. 初期費用・運用コスト

まずは、初期費用と運用コストを合わせた総合的なコストを考慮する必要があります。導入にかかる費用に関しては、導入時の初期費用だけに目を奪われないよう注意する必要があります。自社での運用が発生する場合や、稼動状況に応じてコストが膨らむケースも想定されます。そのため、コストは導入と運用のトータルでのコストを比較するようにします。オンプレミス型や複雑な製品等、自社での運用が前提のものは、自社内で人員リソースを確保する費用も発生します。クラウド型のWAFなら専用ハードウェアを必要としないため、導入が簡単で運用の手間も少ないと言われています。従業員の運用スキルの有無も考慮してタイプも選定しましょう。

2. セキュリティのクオリティ

自社に合わせたWAFを選ぶためには、最適なセキュリティレベルで稼動できるかどうかも重要です。セキュリティレベルが低いと、導入しても意味がありませんし、高度過ぎると場合によっては正常なアクセスを遮断してしまい、結果としてWebサイトやアプリケーションの利便性を損なう危険性があります。またセキュリティ強度が高くなるほど、誤検知率も高くなる可能性があります。検知率、誤検知率、性能面において総合的に優れた製品を選ぶようにしましょう。

3. サポート体制

緊急時のサポート体制が整った企業の製品であることは言うまでもありません。WAFを適切に運用するためには高度な知識が必要です。また、セキュリティ製品という性質上、未知の事象に遭遇する場面も多く存在します。何かあった時、しっかりしたサポートが受けられるのかどうかは事前にしっかり確認しておく必要があります。

4. 導入実績

導入実績が豊富な製品は最新のセキュリティに対応するノウハウ・経験が蓄積されています。実績に比例して、ノウハウやナレッジが十分蓄積されていると考えられます。多くの顧客に選ばれているということは、多種多様な業種のセキュリティニーズに応え、質の高い製品とサービスを提供できているという証でもあります。実績が多い製品は、セキュリティ製品として信頼されていると見ることができるため、確認すべきポイントの一つです。

 

さいごに

Webサイトを守るセキュリティ対策としてよく知られたものに、FW(ファイアウォール)やIPS(不正侵入防御)があります。すでにFWやIPSによる対策をしていても、対策は十分と言えません。FWはネットワークレベルでのセキュリティ対策です。送信元と送信先の情報(IPアドレスやポート番号など)を元にアクセスを制限します。ポートスキャンなどの外部公開が不要なサービスを狙った通信は制限できますが、通信の中身までは検査しません。80番ポートや443番ポートへの通信など、正常な通信を装った攻撃には対処できません。IPSはプラットフォームレベルでのセキュリティ対策です。OSやミドルウェアのぜい弱性を悪用した攻撃や、ファイル共有サービスへの攻撃など、さまざまな種類の攻撃を検査・防御します。しかし、Webアプリケーションへの攻撃は多種多様に増えており、アプリケーション固有の脆弱性を狙ったもの等、高度化した攻撃を防ぎきれないケースがあります。WAFはFWやIPSよりも上位のアプリケーションレベルでのセキュリティ対策で、Webアプリケーションに特化した防御対策です。WAFとFW、IPSはそれぞれ異なるネットワークレベルで機能します。WAFを導入すればFWやIPSが不要になるといったことではなく、どれが欠けてもセキュリティレベルが落ちるため、それぞれで補完しあうことが必要です。WAFを選ぶ際は、ここであげたポイントを基に、コスト、セキュリティ、サポート、導入実績で優れた製品を選ぶようにしましょう。

 

導入実績1万件を超えるクラウドブリック(Cloudbric)

クラウドブリック(Cloudbric)はクラウド型WAFサービスで、アジア・太平洋マーケットシェア1位のWAF「WAPPLES」のロジックベースの検知エンジンを搭載し、既知の攻撃パターンだけでなく高精度な新種の攻撃にも対応可能です。独自のロジックベース検知エンジンを使用し検知率、誤検知率、性能面にて優位性を確保しています。その技術力は世界の専門家にも認められ、全世界13,500以上、国内5,500以上のユーザに支持されています。
従来のシグネチャー基盤のWAFでは検知できない未知や亜種の攻撃に対応し、不審なトラフィックが発見されると事前に設定されたクラウドブリックの約26種の検知ルールをベースに攻撃を類型別に分析及び検知します。シグネチャーを使用しないため、頻繁なシグネチャーのアップデートなしに脅威を防止することができます。高セキュリティながらリーズナブルな価格で導入可能であり、追加料金不要でWAF・DDoS対策・無償SSL証明書が利用できます。24時間365日安心の監視体制と専門家による手厚いサポートも受けられます。既に導入実績も1万件を超え、高品質な独自セキュリティ、コスト、サポート体制と全てのポイントにおいて高い評価を得ています。

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VPNの脆弱性は、さらなる被害を呼び起こす可能性を持つ

出張の最中、目まぐるしく忙しい中で会社のサーバに保管された文書を急に確認しなければならない時、あなたならどうしますか。普通、企業ネットワークは専用サーバまたは閉域網で構築されており外部からの接近を防いでいますが、VPNを利用すると会社のネットワークに接続できるようになります。一般的にVPNは安全で簡単だと思われがちですが、本当にそうなのでしょうか。今回はVPNの使用例と、その脆弱性についてお届けします。

 

なぜ多くの人がVPNを使っているのか

VPNとは Virtual Private Network の略字であり、暗号化やプロトコールなどを通じネットワーク上に仮想の通路を設け機密を守る技術です。通信過程でセキュリティを維持する必要があるときによく使われています。また、「働き方改革」の一環でテレワークが幅広く進められるにつれ、さらに注目されてもいます。それでは、VPNがどの様な状況で使われているのかを見ていきましょう。

海外出張しているとき

海外出張の際には、業務のため使わざるを得ないサイトに接続できない状況が頻繁に起こります。例えば中国ではグーグルに接続できませんが、これは国家別に接続が許可されていないサイトが存在するからです。業務を行うにおいて大きな障害となりますが、VPNを使うことによって遮断されたサイトに接続することができます。

無料Wi-fiを利用しているとき

公衆無線LANなど、無料Wi-fiの場合、暗号化などのセキュリティ対策が施されていない場合が頻繁に見かけられます。これは、利用者の情報が無防備に露出されることが多い、と同じ意味です。実際、無料Wi-fiの利用者を狙ったサイバー攻撃も数多く報告されています。VPNを利用すると通信経路全体を暗号化でき、情報の露出を防ぐことができます。

外部から社内ネットワークに接続するとき

数々の企業が社員の社内ネットワーク接続のため、ビジネス用VPNを使用しています。社内ネットワークをインターネットで構築しながらも、指定されたVPNを利用する者のみが接続できるようにする形です。専用回線でネットワークを構築する方式に比べコストを抑えながらも、一定レベルのセキュリティを維持する事が可能になります。
しかし、よく考えてみたら、このような事例は全て「VPNを利用すれば安全が保障される」という前提で行われています。VPNは果たして本当に安全だと言えるのでしょうか。

 

VPNとて必ず安全なわけじゃない

残念ながら、VPNを利用するとしても必ず安全が保障されるわけではありません。VPNにも脆弱性が存在するのです。例えば、2020年に発生した「三菱電機に対するサイバー攻撃」事件では、VPN装置がハッキングされたことが事件の始まりでした。

三菱電機へのサイバー攻撃、VPN装置にハッキングか
2020年5月2日
三菱電機への大規模なサイバー攻撃で、不正アクセスの起点が「仮想プライベートネットワーク(VPN)」と呼ばれる通信機器へのハッキングだった可能性が高いことが複数の関係者への取材で分かった。ネットワークに侵入した中国系ハッカー集団「BlackTech(ブラックテック)」が、防衛に関する機密や個人情報を流出させたとされる。…
同社の複数の関係者によると、中国拠点のPCで外部との不審な通信がないか調べたところ、中国国内にあるデータセンターに設置されたVPN装置に不正アクセスの痕跡が見つかったという。装置は中国など海外の拠点と日本の拠点をネット回線を介して互いにつなげる役割がある。この装置へのハッキングが社内ネットワークへの侵入のきっかけだったとみている。
引用: 朝日新聞

実際、VPNを狙った攻撃が近年さらに増加しています。この事件の場合、セキュリティ対策をしっかりと行っていると思われた大手企業を狙ったものなので、さらに大きな衝撃を与えました。特にビジネス用VPNは企業ネットワークに接続する用途で使用されるため、攻撃により発生する被害は想像を超すと思われます。攻撃者が企業ネットワークに侵入でき、内部情報を思うままに奪取できるという事を意味するからなのです。

攻撃者が目標にしていると思われる、主なVPNの脆弱性には次のようなものがあります。

低レベルのプロトコル及び暗号化

VPNは暗号化及びプロトコルなどを利用し安全性を確保しています。しかし、そのレベルには製品によって雲泥の差があります。廉価または無料で提供されているVPNの場合、低レベルのプロトコル及び暗号化を利用しており、容易にハッキングされる可能性があります。よって、十分に検証されたものなのかを確認する必要があるでしょう。ハッキングによって情報が露出されれば、もはやVPNを使う理由はありません。

VPNサーバに対する攻撃

VPNはその利用者を特定のサーバを通じネットワークに接続させる形でセキュリティを維持しています。しかしサーバ自体がハッキングされたら、セキュリティはどうなるのでしょうか。実際、VPNサービス企業のサーバがハッキングされた事例(引用: Techcrunch)が存在するように、サーバに対する脅威はVPNの脆弱性になりえます。もしもサーバに利用者の情報が残っている場合、通信がいくら安全に行われるとしてもその結果が露出されかねないという事になります。結果的に、VPNを使った理由を探せない状況が作り出されるのです。

 

VPNを選択する際の注意事項

VPNに脆弱性が存在するとしても、必ずVPNを利用しなければいけない状況に置かれる可能性も十分あり得ます。例えば、海外で遮断されたサイトに接続する必要がある場合などには、VPNを利用しなければいけません。その際には、次のような点に注意する必要があります。

  • 信頼できる個人情報保護ポリシー及びデータ保存ポリシーが存在するのかを確認する
  • 広範囲もしくは適切なサーバ適用範囲を提供しており、多様な選択肢が存在するのかを確認する
  • 強力なプロトコル及び暗号化措置が存在するのかを確認する
  • 適切な価格と、それに見合う機能を提供するのかを確認する

 

最後に

テレワークはコロナ禍以後にも引き続き拡大される見通しであり、企業により強固なセキュリティ対策が求められている状況です。先ほど紹介したVPNの脆弱性を周知し、VPNを補完できるセキュリティ対策を取る必要があります。このような状況を鑑み、クラウドブリック(Cloudbric)は追加設置などが不要で、簡単に暗号化、認証、ハッキング防止及びモニタリング等の機能をご利用できる「Remote Access Solution」をリリースしました。10月7日まで無料でお試しいただけるので、是非お試しください。
Cloudbric Remote Access Solutionの詳細はこちら