ランサムウェアの状況とその対策サムネイル220114

2021年日本におけるランサムウェアの状況とその対策について

日本におけるランサムウェア状況とその対策

2020年1月から全世界を脅かしたコロナウイルスは我々の生活パターンを大きく変えてしまいました。コロナウイルスの影響で始まった新しい生活様式は「ニューノーマル」と呼ばれています。その生活様式はソーシャルディスタンスを保つことを中心にしています。この変化は日常生活だけではなく、働き方に関しても大きな影響を及ぼしています。会社に出勤する形ではなく、自宅やネットワークが繋がっている場所で仕事をする、いわゆるテレワークの時代が始まりました。

 

コロナウイルスがもたらした新しい働き方

テレワークはソーシャルディスタンスを保ちながら、企業運営ができる働き方なので、多くの企業が導入していますが、それにはある問題が伴います。それは企業の情報保護が難しくなることです。ネット上で多くの仕事が行われ、重要な情報が保存されるため、ハッカーに狙われやすいです。このような攻撃から情報を守るために、企業はセキュリティ対策に力を入れていますが、巧妙化している攻撃を完全に防ぐことは難しいです。数多くある攻撃の中で、最近急増しているのがランサムウェアによる攻撃です。

 

ランサムウェアとは

ランサムウェアはマルウェアの一種で、利用者のシステムへのアクセスを制御し、データを暗号化する不正プログラムです。暗号化されたデータを解除するためには身代金(Ransom、ランサム)を支払うように要求されるのが一般的です。従来のランサムウェアは不特定多数の利用者を狙っていましたが、最近には特定の個人や企業を標的にしていることも多くあります。ここでは、急増しているランサムウェアによる被害を調べ、その対策について解説いたします。

 

日本におけるランサムウェアの発生状況

警察庁が発表した資料によると、2021年(上半期)にランサムウェアによる被害報告が61件に達しました。この件数は2020年下半期と比べたら、約3倍が増加した数値です。

引用:「令和3年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」より作成

また、最近の事例ではデータの暗号化するだけではなく「データを窃取したあとに企業に対し、身代金を支払わなければ、窃取したデータを公開する」などのようなお金を要求する二重恐喝(ダブルエクストーション)による被害も見られます。ランサムウェアによる被害の中で、金銭の要求手口が確認された被害が35件であり、このうち二重恐喝は27件でした。この状況を見ると、これからのランサムウェアは従来の攻撃手口であった利用者のアクセスを制御する形だけではなく、直接金銭を要求するランサムウェア攻撃も多発する可能性が高くなると思われます。

 

ランサムウェアの感染経路

個人や企業を問わずに被害を与えているランサムウェアはどのような経路で感染されているのか調べてみましょう。警察庁の発表によると、多くの割合を占めていた経路はVPN機器からの侵入でした。次いで、リモートデスクトップからの侵入もあり、テレワーク時に使われるサービスを利用して侵入したのが約80%を占めていることがわかりました。では、日本で実際に発生したランサムウェアによる被害の実例を確認してみましょう。

 

日本で発生したランサムウェア「Cring」による被害

「Cring」は2020年12月頃全世界で活動した新しいランサムウェアであり、データの暗号化と窃取したデータを暴露するタイプである二重恐喝(ダブルエクストーション)型です。攻撃者はVPNの脆弱性を利用してITシステムへ不正侵入し、アクセスを制御し、ランサムウェアを感染させて、重要なデータを利用不可にします。このランサムウェアは2021年上半期から日本で多く発生しました。被害事例としては、管理するファイルサーバと業務サーバがシステム停止状態になるなど、企業運営に直接的に影響を及ぼす程度の被害もありました。

このように攻撃者はコロナで急変している働き方の脆弱なところを狙って攻撃を仕掛けてきます。この状況の中で、個人や企業は安全なテレワークの環境の構築とデータを守るためにはどのようなセキュリティ対策が必要なのでしょうか。

 

ランサムウェアを防御するセキュリティ対策とは

まず、簡単にできることは電子メールの警戒があります。未だにもランサムウェアは不特定多数に関心を引くような内容でメールを送って添付ファイルを開かせ、感染させる手口が多いです。対応としては送信先を確認してから添付ファイルを開くことやリンク先にアクセスしないように注意する必要があります。

次に、定期的にデータをバックアップしておき、感染に備えることも必要でしょう。しかし、バックアップデータも暗号化された事例もありますので、バックアップデータはネットワークから切り離して保管した方が望ましいです。

最後に、ネットワークの脆弱性を狙って攻撃し、感染させる手口もありますので、それに対する対策も必要です。多くの企業さんが安全なテレワーク環境を作るために、ZTNAを導入しています。ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)はアクセスできる範囲や権限をきめ細かく設定したり、多要素認証を追加することでユーザの検証を行い安全性を確保します。

 

Cloudbric RASのご紹介

「Cloudbric RAS」についてご説明します。Cloudbric RAS(クラウドブリック・ラス)は、Cloudbric Security Platformにて選択できるZTNA(Zero Trust Network Access)ソリューションです。ユーザ観点の認証セキュリティを付加し「End To Endのゼロトラストセキュリティ環境」を提案します。安全なテレワーク環境を構築するための企業の課題を解決するSaaS型テレワーク・サービスであり、Direct ConnectやVPNを構築せずセキュアに企業システムへアクセスをサポートし、管理性・利便性とセキュリティが両立できるサービスを提供しています。

Cloudbric RASサービスの料金やサービス内容について詳細を知りたい方は、こちらをご覧ください。

 

まとめ

2021年日本におけるランサムウェア被害とその対策について説明しました。今後はより巧妙化したランサムウェアが特定の企業を標的にして攻撃することもあるでしょう。そのような攻撃からデータを安全に守るためには、適切なセキュリティ対策が必要になります。弊社が提案する対策を参考に安全なテレワーク環境を構築して頂ければ幸いです。

 

参考サイト
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R03_kami_cyber_jousei.pdf
https://www.ipa.go.jp/files/000093083.pdf
https://www.npa.go.jp/cyber/ransom/index.html