DoS攻撃とDDoS攻撃の違い

DoS攻撃とDDoSの違いは?攻撃を防ぐ対策方法まとめ

サイバー攻撃にはさまざまな種類があり、なかでもDoS攻撃やDDoS攻撃はよく知られた手法です。どちらも、ターゲットになると甚大な被害を受けかねないので、企業は適切な対策を行わねばなりません。
本記事では、DoS攻撃とDDoS攻撃の概要やそれぞれの違いなどを解説します。併せて、具体的な対策方法についてもお伝えするので、今からでも対策への取り組みを始めましょう。

 

DoS攻撃とは?

DoS攻撃(Denial of Service Attack)とは、特定のWebサイトやアプリへ意図的に負荷をかけるサイバー攻撃の一種です。1台の端末から大量のデータを送ることでサーバーに負荷をかけ、機能障害を引き起こします。

DoS攻撃のターゲットとなるのは、規模の大きなWebサイトばかりではありません。個人サイトや知名度が低いアプリであっても狙われることがあるため注意が必要です。

DoS攻撃の種類としては、通常を装って短時間に大量のアクセスを行う「フラッド(洪水)型」と、サーバーの脆弱性をついて膨大な処理を行わせたり、マルウェア感染を狙う「脆弱性型攻撃」の2つが代表的です。

 

DDoS攻撃とは?

DDoS攻撃(Distributed Denial of Service Attack)は、DoS攻撃をさらに強力にしたサイバー攻撃です。DoS攻撃が1台の端末から仕掛けるのに対し、DDoS攻撃は複数の端末からターゲットのサーバーへ負荷をかけます。

DDoS攻撃の特徴は、事前にマルウェアなどを用いて乗っ取った端末を攻撃に使うことが多い点です。マルウェアに感染した不特定多数の端末へ攻撃者が命令を出すと、ターゲットに対し一斉に攻撃を加えます。

なお、乗っ取られた端末の所有者が攻撃に気づきにくいことも、DDoS攻撃のおそろしいところです。特定のWebサイトを攻撃する意思などなくても、知らぬうちにDDoS攻撃に加担させられることがあります。

 

DoS攻撃とDDoS攻撃の違い

DoS攻撃とDDoS攻撃は、どちらもサーバーに大量のデータを送り、負荷をかけて機能障害へ追い込む手法です。
双方では、攻撃を仕掛ける端末の数に違いがあります。DoS攻撃は1台の端末で実行されますが、DDoS攻撃では複数の端末が使われます。

複数の端末で大規模な攻撃を行うDDoS攻撃は、1台のみのDoS攻撃より被害が大きくなりがちです。また、DDoS攻撃の多くはマルウェアなどで乗っ取った端末を用いることから、攻撃者が直接的に行うDoS攻撃と比べて攻撃元の特定が難しい点にも違いがあります。

 

・攻撃を行う理由・目的

これらの攻撃を行う目的のひとつとして、ターゲット企業のイメージダウンが挙げられます。サーバーに高負荷がかかると、機能障害によってユーザーがアプリやECサイトなどのWebサービスを利用できない、という状況に陥りかねません。被害を受けた企業は、セキュリティ対策が弱い、サービスが不安定で信頼性に欠ける、といったネガティブな印象をユーザーに与えます。

また、嫌がらせやいたずら、脅迫、抗議などを目的とすることがあります。「楽しいから」「困った様子を見てみたい」といった愉快犯的な犯行のほか、「金銭を支払えば攻撃を停止する」という脅迫などのために行われます。

 

DoS攻撃・DDoS攻撃で起こりうる被害とは?

DoS攻撃やDDoS攻撃によって、金銭的な被害を受けるおそれがあります。たとえば、ゲームアプリを運営している企業であれば、攻撃によって一時的に障害が発生すると、ユーザーがアイテムを買えない状況に陥るかもしれません。
このようなサービス・商品の販売機会の損失に加えて、不具合が発生する、一部サービスを利用できないといった機能不全の結果、ユーザー離れを招くおそれもあります。

ほかにも、サーバーに負荷がかかることで通常業務に支障をきたすかもしれません。業務が停止、混乱するほどの被害を受けた場合、原因究明や復旧までに時間がかかれば、その間に得られたはずの利益分の損害が発生します。

 

DoS攻撃・DDoS攻撃の対策方法3選

DoS攻撃やDDoS攻撃は、適切な対策によって防御が可能です。具体的な対策としては、同一IPや海外からのアクセス制限、対策サービスの導入、OSやアプリの常時最新化の3つです。

 

1.同一IP・海外からのアクセスを制限する

PCやスマートフォンといったネットワーク機器には、各端末を識別するためのIPアドレスが割り当てられています。
同じIPアドレスの端末からしつこく攻撃を受けているようなケースでは、特定のIPアドレスのアクセスを制限することで対策できます。なお、この方法はひとつのIPアドレスを使用するDoS攻撃に対しては有効ですが、多数の端末を用いるDDoS攻撃にはあまり効果がありません。

ほかには、アクセス分析して海外の一部の国から攻撃が多いと分かれば、その範囲でアクセス制限を実施するのも手です。ただし、グローバルに展開するサービスでは、アクセス制限した国や地域への提供ができなくなります。そのため、この方法は国内向けに限るようなサービスで有効です。

 

2.DoS攻撃・DDoS攻撃対策サービスを導入する

DoS攻撃やDDoS攻撃は、専用の防御サービスの導入によって対策が可能です。代表的なサービスとしては、WAFやUTMなどが挙げられます。

WAF(Web Application Firewall)は、Webサイトの保護に特化したセキュリティソリューションです。不正アクセスの検知機能によって、一般的な利用とDoS攻撃・DDoS攻撃を見分け、攻撃のみを止められます。ほかにも情報の搾取やシステム基盤の侵害といった脅威度の高い攻撃からWebサイトを守ります。

UTM(Unified Threat Management)は、日本語で統合型脅威管理と訳されます。コンピュータやネットワークを、外部からの脅威から守る管理手法のことです。ファイアウォールやIPS、アンチスパムなどのセキュリティツールを統合することで、効率的なセキュリティ強化を実現します。

DDos攻撃への対策としてCloudbric ADDoSがあります。Cloudbric ADDoSはDDoS攻撃の防御に特化したクラウド型セキュリティサービスです。全世界に分散配置したエッジネットワークを利用し、最大100Tbpsの大規模攻撃まで防御が可能です。
参考:Cloudbric ADDoS

 

3.OSやアプリを最新版に保つ

DoS攻撃・DDoS攻撃は、単純にアクセスを繰り返すだけでなく、セキュリティ対策を潜り抜けてアクセスを確立させられるよう、年々手口を巧妙化させています。一方で、OSやアプリもそれに対応し、見つかった脆弱性をカバーするために更新され続けます。

OSやアプリのバージョンが古いままでは、新たな攻撃手法に対応できず被害を受けるおそれがあります。こうしたリスクを軽減するため、OSやアプリは常に最新の状態で使用しましょう。定期的にアップデートを行い、最新の状態に保つことで攻撃を対策できます。

 

まとめ

DoS攻撃とDDoS攻撃は、どちらもターゲットのサーバーに過度な負荷をかけ、機能障害などを引き起こすサイバー攻撃の手口です。機会損失に伴う金銭的な被害をはじめ、顧客離れにもつながるため、企業には適切な対策が求められます。
具体的には、攻撃対策サービスの導入、OSやアプリを最新の状態で使用するなどの方法が有効です。これらの対策により、脅威から組織を守れる環境を整えましょう。

Cloudbric ADDoSは全世界70以上のエッジロケーションを活用した高度化されたDDos攻撃防御サービスです。常時トラフィックの監視がリアルタイムに行われ、発信元に近いエッジにて攻撃を分散処理することで、最大100Tbps以上のトラフィックを緩和することができます。詳細は以下のサービス概要をご確認ください。
参考:Cloudbric ADDoS

 

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メタバース普及に伴うセキュリティリスク、そして対策について解説

前回、メタバースについてくわしく解説しました。詳しくは下記の記事を参考にしてください。

世の中でほとんど常識の「メタバース」、まだ見ぬ未来にもたらすインパクトとセキュリティ対策について

 

メタバースの空間では声だけでなく仕草などの存在感も感じられ、実際に会っているような感覚で話せることからビジネスでのコミュニケーションの面でも注目されています。今回は、最近になって関心を向けられているメタバースにおけるサイバーセキュリティと生じる可能性があるリスクについて考えてみます。

 

メタバースの特徴2

このメタバースは次世代における、生活や産業などの経済活動を営む上で不可欠な社会基盤とも言われており、Facebook、Googleなど世界中の企業から注目を集めていますが、この世界に「メタバース」と呼ばれるものを、細部まで正確に成り行きや結果について前もって見当をつけて説明できる人はいないとも言われています。それほど新しい概念となっているため、メタバースを現実のものとすることがもしも叶うならば、インターネットの次のインフラと言われるほどの世の中を変える大きな動きをもたらすでしょう。インターネットが世の中に登場する以前の人々がインターネットの全貌を予測できなかったように、私たちもメタバースというものを予測できないのです。しかし現時点における本質的な思考において把握される、メタバースの『何たるか』という部分をよくわかるように述べることは不可能ではありません。

  1. 無限の期間に存在することのできる特性がある
    インターネットの世界ではスイッチをオフにしてしまえばそこで終了ですが、現実世界には終わりがありません。この意味でメタバースは現実世界に近い無限の期間に存在することのできる特性があること。
  2. 自分の主体性がある
    ここでの主体性とは自分そのものを現示するアバターのことで、人間の創造的活動により生み出されるどのようなものであっても変わらずに使用できること。
  3. 現実世界と内容や情報が一致している
    常に現実世界と仮想世界の内容や情報が一致しており、時間が一致していること。
  4. 何時でも無条件で場所を選ばずに参加できる
    接続できる人数に制限がなく、特殊な場合についてでなく広く認められ公開されているということ。ひとつの場所に制限がなく接続できること。
  5. 自社の経済波及効果を持っている
    個人や企業が、仮想空間内でサービスの開発・売買・投資・保有、さらに作ったものに対して報酬が支払われること。これらが現実世界でこうあるべきだと決められた規則から独立して行われること。
  6. 多種多様のコンテンツ
    ゲームやスポーツ、アーティストの生演奏観覧をファーストステップとして、ファッションショーやトークショーなどリアルで実施されてきたイベントを行えること。

現在において、確定的事実としてではありませんが考証推測できるメタバースの特徴はこれくらいでしょうか。共通して考えられることは、現実の世界を構成する個々の部分とほぼ変わらない固有の働きを備えているということでしょう。

 

メタバースで配慮しなければならないサイバーセキュリティとリスク

現実空間と似通っているエクスペリエンスができてしまうメタバースは、まだ見ぬ未来多種多様な場面において役立てるシーンが広がるものと考えられます。これまでのインターネットサービスと相違するメタバースで、推しはかれるリスクにはいったいどんなものがあるでしょうか。これからバーチャルな空間で生活する場面が増えていく時代を迎え入れるに際して、いったいどんなリスクが存在するのかを考えることはきわめて大切なことです。

リスクモデリング手法「STRIDE」

メタバースにおけるリスクを考える上で、リスクモデリング手法である『STRIDE』を使用します。STIRDEはマイクロソフト社によって提唱されたリスク導出の方法で、サービスにどのようなリスクが考えられるのかを次の6つの観点で網羅的に分析できます。

  1. Spoofing identify:なりすまし
    正規の利用者に悪意のある攻撃者がなりすます
  2. Tampering with data:改ざん
    データの悪意ある書き換え
  3. Repudiation:否認
    攻撃の証拠を隠滅し身元を隠す
  4. Information disclosure:情報漏えい
    秘匿すべき情報が窃取または公開される
  5. Denial of service(DoS):サービス拒否攻撃
    サービスを止めてしまい使えなくする
  6. Elevation of privilege:権限昇格
    管理者の権限を不正に奪い悪用する

これらの6つのリスクカテゴリーの頭文字をとってSTRIDEとされています。本来は対象となるサービスのデータフローを図式化し、フローごとに詳細な上記の観点で分析を図っていきますが、ここでは簡易的にメタバースで起こり得るリスクについてSTRIDEの観点で考えてみます。

 

Spoofing identify(なりすまし)

メタバースにおけるなりすましは利用者の存在それ自身を脅して恐怖を抱かせます。記録や情報が盗んで持ち出される情報漏えいだけでなく、無断で情報がやり取りされるといった被害が発生することによって、本人の心当たりがないところで信頼性を失墜させる可能性があります。メタバースの利用用途が広がれば、勝手な契約や詐欺などに悪用される恐れもあります。攻撃者は次のような手順で利用者へのなりすましを行うと考えられます。

  • 認証情報(IDやパスワード)の窃取
    メタバースに接続するための認証情報が狙われるため、サービス運営者を騙ったフィッシングによる窃取や辞書型や、リスト型攻撃による不正ログインなどが考えられます。運営者側では多要素認証の導入、利用者側は他のサイトとのパスワードの使い回しをしないといった対策が有効です。アバターモデルデータやワールドデータが認証情報に紐づけられて登録されているため、認証情報の維持管理はいいかげんにせずきびしい態度で対処する必要があります。
  • アバターモデルデータの窃取
    メタバースで使われているアバターモデルは現実のトレンドとほとんど同じであることによって、自分自身の姿に手を加えて他と比較して異なる個性をもった好みのものに作り変えられるため、利用者の人格を正しく理解する上で重要視されるべき要素となっています。その人個人のアバターモデルが他人に悪用されてしまうと、他の利用者から視覚的に見分ける方法はありません。アバターモデルデータを窃取するには、正当と見なされる手段や方式を用いないログインやメモリーに展開されているキャッシュデータからの抽出、サーバ上に保存されているデータの取得が考えられます。これらのリスクには、サーバやクライアントアプリを含めたサービス提供側でのデータの抽出や解読を困難にする仕組みの導入などの対策が求められ、サーバ上に保存されているデータについても暗号化や権限管理による制限が必要となります。
  • 他人を装った利用者
    アーティフィシャル・インテリジェンスなど高度な合成技術を用いて作られた、本物と見分けがつかないような偽物の動画である『ディープ・フェイク』が大きな問題になっていますが、メタバースでの人格のなりすましはまさに魂のディープ・フェイクと言えるでしょう。アバターモデルデータの窃取と同様に、他人を装った利用者の存在もリスクと考えられます。相手の存在をアバター・声・しぐさ・名前といった現実よりも条件が制約されており、行動や判断の範囲に一定の限度がある情報で認識しているため、他人のアバターを窃取することによって、声や動きを合成音声やしぐさの解析で再現できるため、メタバース内でのみ顔見知りである人にとっては本人と見分けることはこの上なく困難なものと言えます。メタバースを通して利用者に提供するサービスについて思慮をめぐらす際は、こういったなりすましを考慮に入れた本人確認のメカニズムを考えなければなりません。

 

Tampering with data (改ざん)

メタバースでは、利用者が作り上げたアバターやワールドのデータを複数の利用者が共に利用できる仕組みを備え持っているため、攻撃者による改ざんは制作した利用者の意図とは異なる動作によって他の利用者への被害を生む恐れがあります。

  • ワールドデータの改ざん
    メタバースでは、通常の限界を超えた色の変化や光のハイスピードな点滅といった神経を過敏に反応させる問題のある演出効果を、利用者の視界全体に表示させる嫌がらせが問題となります。これらは心理的・精神的な悪影響だけでなく、嘔吐や倦怠感などの身体的な被害を生じる場合があり、最悪の場合重大な症状のきっかけとなる恐れがあります。攻撃者がワールドデータを改ざんすることでこういった効果を埋め込むことによって、訪れた善意の利用者に被害を生じさせるといった不正行為が考えられるため、利用者のアバターモデルと同じ方法でサービス提供側におけるワールドデータの保護が所望されます。
  • プロファイル情報の改ざん
    メタバースでは、オンラインゲーム同様にこの人は信じられる、頼りにできるなどと他人から評価される度合いをスコアリングした、信頼度レベルシステムを搭載しているサービスもあります。こういった信頼度スコアは、メタバース内における社会性のある互いを大切に思う結びつきといったアクティビティを積み重ねることによって、スコアがレベルアップするように設計されています。こういった値が改ざんされてしまうと、つくり終えて間のないアカウントでも他の利用者に被害をもたらすようなワールドやアバターデータを共有することが可能になる危険性があります。

 

Repudiation(否認)

否認とは、サービス上での操作履歴を跡形もなく消すことによって、不正行為のエビデンスを無くし攻撃者の特定をできなくするリスクです。過去に蓄積された情報から攻撃者を特定することが困難となるため、状況に合わせた適当な処置をとることがほぼ不可能となります。メタバース上では、サービス内に保存されている過去にどういった行動をしたかという情報の改ざんや、操作の順序と回数を記録した情報の改ざんなどによる否認が考えられます。

 

Information disclosure(情報漏えい)

情報漏えいは、情報を保持すべき当事者以外の第三者が不正に情報を入手するリスクです。

  • メタバース空間内での盗聴・盗撮
    現実世界と同じようにメタバース空間内においても盗聴・盗撮といった悪い結果を招く可能性があります。アナログな現実世界をデジタル・コピーした世界であるメタバース空間においては、原理上『見えない』アバターの存在が可能で、ひとつのワールドデータを基にして同時に複数の世界を生成できます。このようなメカニズムはワールドのインスタンス化と呼ばれています。プライバシーを提供するために作成されたインスタンスにおいては、プライベートな内容や守秘義務が課されるような会話が行われているかもしれません。こういったインスタンスに第三者がアクセス可能である場合、目に映らないアバターを通して発言や行動などといったものが盗聴・盗撮されてしまう恐れがあります。サービス側におけるインスタンスの権限管理が行われることはもちろん、利用者側も接続に必要なインスタンス認証情報の取り扱いに注意が必要です。
  • メタバース空間に仕組まれた盗聴器や隠しカメラ
    ワールドのメカニズムを悪用することによって、そのワールドに訪問した利用者の行動や発言を記録される可能性が考えられます。盗聴器や隠しカメラと同様にワールドデータ内に仕組まれた音声や画像を採録するメカニズムによって、そのワールド内での利用者同士の会話や出来事が、知らない間に録音・撮影され第三者に送信されているかもしれません。このような機能の悪用を防ぐには、サービス側でワールドを作成する機能に対して通信先の制限や使用可能な機能の制限などを適切に行う必要があります。アバターを通してメタバース空間内で行われるコミュニケーションは、そのことに直接関係する人にとっては現実世界と同様に現実味を帯びた体験と等しい価値を持ちます。これらに対する盗聴・盗撮は体験以外の何ものでもないものの窃取と言えるため、リアル世界と同等に深刻な問題となります。

 

Denial of Service(サービス拒否)

いわゆるDoS攻撃とも呼ばれるもので、コンピュータの負荷を上昇させることによって、サービスの提供を不可能にするリスクです。

  • 利用者のパソコンに対するDoS攻撃
    ワールドやアバターを気持ちの赴くままに開発できるメタバースでは、利用者が仮想空間への接続に使用しているパソコンに対するDoS攻撃が考えられます。表示させた瞬間にパソコンが突然に異常終了してしまうアバターや、接続した瞬間にオーバーロードで表示が止まってしまうようなワールドなど、利用者が制作可能な機能を悪用した攻撃は実際に既存のメタバースでも問題となり様々な手段で対策が行われてきました。盗聴対策と同様に、アバターやワールドの表示や処理負荷に対して満たさなければならない条件についての決まりごとを設定して、アップロード時に検査するなどの処置が必要となります。

 

Elevation of Privilege(権限昇格)

権限昇格は、一般の利用者のアカウントを不正な方法によって管理者に昇格し、通常では使用できない管理機能の使用を可能にするリスクです。

  • プロファイル改ざんによるスーパーユーザ権限の取得
    サービスの仕様によっては、ユーザプロファイルにおける権限フラグ設定などを改ざんし、スーパーユーザ機能を有効にする攻撃が考えられます。

 

まとめ

メタバースが普及するようになると今後ビジネスコミュニケーションを大きく変えることになるでしょう。しかし、現在ではゲーム、教育、会議など、特定の分野での活用にとどまり、まだ限界があるのも事実です。最も懸念されるものがセキュリティです。メタバースがこれからどのように進展いくのか分からないということ、そして現在メタバースがインターネット上で構築されている以上、Webシステムにまつわる全てに脅威について徹底して対策していく必要が求められます。

 

Cloudbricのご紹介

https://www.cloudbric.jp/cloudbric-security-platform/

 

ddos

DDoS攻撃への対策とは?攻撃手法や実際の被害事例も紹介

近年、企業や公共機関を狙ったDDoS(分散型サービス拒否)攻撃の被害が急増しています。攻撃者は世界中の感染端末を使って大量の通信を送りつけ、サーバーやネットワークに過剰な負荷をかけることで、Webサイトの停止やオンラインサービスの遅延を引き起こすのが特徴です。

この記事では、DDoS攻撃の仕組みや目的、実際の被害事例、そして企業が取るべき効果的な対策について詳しく解説します。

DDoS攻撃とは

DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃とは、複数のコンピュータから標的のサーバーやネットワーク機器に大量の通信を送りつけ、システムを麻痺させるサイバー攻撃のことです。

通信量が一気に増加することでサーバーが過負荷となり、正規のユーザーがサイトやサービスにアクセスできなくなります。結果として、業務停止や顧客の信用低下などの深刻な影響をもたらす可能性があります。

DDoS攻撃は、企業や官公庁を狙ったサイバー攻撃の被害が増えており、近年ますます巧妙化・大規模化が進んでいます。

 

DDoS攻撃の狙い

DDoS攻撃は単なる「いたずら」ではなく、多くの場合、明確な意図や利益を目的としています。

代表的な例としては、競合するサイトやオンラインストアを一時的に停止させることで売上機会や顧客の信頼を奪う営業妨害や、政府機関などを標的にして政治的・社会的主張を訴えるハクティビズム(政治的抗議)があります。

さらに、攻撃を止める代わりに金銭を要求する恐喝型の事例や、DDoSによる混乱に乗じて不正アクセスや情報窃取を隠蔽する陽動目的の攻撃も確認されています。

 

DoS攻撃との違い

DoS攻撃(Denial of Service攻撃)とは、1台のコンピュータから対象のサーバーやWebサイトに大量のリクエストを送りつけ、システムのリソースを使い切らせてサービスを停止させる攻撃です。攻撃元が単一であるため、IPアドレスの特定やアクセス遮断による対策が比較的容易で、被害範囲も限定されるのが特徴です。

一方で、DDoS攻撃は、DoS攻撃をさらに大規模かつ分散化した手法です。世界中の感染端末(ボットネット)を利用して同時に攻撃を仕掛けるため、通信経路が複雑になり、防御や検知が難しくなります。その結果、被害の規模はより深刻化し、復旧にも時間を要するケースが多く見られます。

 

DDoS攻撃の特徴

DDoS攻撃には、いくつかの共通した特徴があります。複数の感染端末を利用して攻撃を仕掛ける「複数ボットの利用」や、正規ユーザーの通信を妨げてサービスを停止させる「遮断の拒否」、そしてサーバー資源を使い果たす「リソース枯渇」などが代表的です。ここではDDoS攻撃の特徴について紹介します。

 

特徴①複数ボットの利用

DDoS攻撃の大きな特徴は、多数のマルウェア感染端末(ボット)を同時に利用して攻撃を行う点にあります。

攻撃者は世界中に分散して存在するこれらの端末を遠隔操作し、標的のサーバーやネットワークに向けて膨大な量の通信を一斉に送りつけます。こうした「ボットネット」による攻撃は、単一の発信元を遮断しても防御が難しく、攻撃の規模や継続時間が非常に大きくなるのが特徴です。

また、ボットの所在地やIPアドレスが多岐にわたるため、検知・遮断の難易度が高く、被害の特定や復旧にも時間を要するケースが少なくありません。

 

特徴②遮断の拒否

攻撃トラフィックが正規ユーザーの通信を圧迫し、アクセスを事実上遮断してしまう点もDDoS攻撃の特徴のひとつです。

攻撃が成功すると、サーバーやネットワーク機器が大量の不正通信によって処理能力を使い果たし、正規のリクエストに応答できなくなります。その結果、Webサイトやアプリが表示されない、接続が極端に遅くなるといった障害が発生し、ユーザーにサービスを提供できない「DoS状態」に陥ります。

このような状況は、業務停止や顧客離れ、ブランドイメージの低下など、ビジネス面での損失に直結し、場合によっては、企業活動全体に深刻な影響を及ぼすこともあります。

 

特徴③リソースの枯渇

サーバーやネットワーク機器のリソース(資源)を枯渇させることも、DDoS攻撃の特徴です。攻撃者は標的に対して膨大なリクエストやデータを送りつけ、CPU・メモリ・通信帯域といった処理能力を限界まで消費させます。

その結果、システムは正規ユーザーからのアクセス要求を処理できなくなり、サービス全体が遅延または完全に停止する事態が発生します。リソースの枯渇は一時的な障害にとどまらず、復旧に長時間を要するケースや、業務停止・信頼低下といった経済的損失を引き起こすこともあります。

このように、DDoS攻撃は単なる一過性のトラブルではなく、企業の継続的な運営に直結する深刻なリスクと言えます。

DDoS攻撃の種類については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

DDoS攻撃の種類と企業がとるべき有効な対策とは?

 

DDoS攻撃による被害事例

ここまでDDoS攻撃について紹介してきましたが、過去どのような被害事例があったのでしょうか。ここでは最近の事例を紹介します。

 

事例①日本航空(JAL)

2024年12月26日、日本航空(JAL)は外部からの大規模なサイバー攻撃を受け、社外システムとの通信に不具合が発生しました。本事案は、攻撃の性質から「DDoS攻撃」である可能性が高いと見られています。

この影響により、手荷物管理システムに不具合が発生し、国内線・国際線の一部で出発遅延が発生しました。さらに、業務システムの一部が停止したことで、利用客や運航スケジュールに直接的な影響が及びました。

交通インフラを支える企業での発生は、DDoS攻撃の脅威が社会全体に及ぶことを改めて示す事例と言えます。

 

事例②三菱UFJ銀行

2024年12月26日、三菱UFJ銀行はインターネットバンキングサービスへのアクセス障害が発生したと発表しました。原因は、外部から大量のデータを送りつけるDDoS攻撃によるものと見られています。

その日の午後からログインが不安定となり、生体認証の利用が困難になるなどの不具合が発生し、法人向けのWebサービスの一部でも一時的に同様の障害が確認されました。以降、断続的に接続しづらい状態が続いたものの、顧客データの流出やウイルス感染は確認されていないとのことです。

今回の攻撃は、金融機関のオンラインサービスがサイバー攻撃の標的となる危険性を示す事例となりました。

 

事例③日本気象協会

2025年1月、日本気象協会が運営する天気予報専門メディア「tenki.jp」が、複数日にわたって大規模なDDoS攻撃を受けたと発表しました。1月5日と9日に発生した攻撃により、Web版およびアプリ版の気象情報サービスで、表示や更新の遅延・停止といった障害が確認されました。

9日午前の攻撃は夕方に一度復旧したものの、同日夜に再び攻撃を受け、通信障害が断続的に続きました。特に大雪や暴風雪の影響が懸念されていた時期であったため、利用者が気象情報を確認できない状況は社会的にも大きな影響を及ぼしました。

DDoS攻撃以外のサイバー攻撃の事例は、以下の記事でも詳しく紹介しています。あわせてお読みください。

【2025年最新】国内外のサイバー攻撃事例10選!対策方法も紹介

 

DDoS攻撃への主な対策

対策①CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の導入

DDoS攻撃対策として効果的なのが、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の導入です。CDNは、世界各地に分散配置されたサーバーを通じてコンテンツを配信する仕組みで、アクセスや攻撃トラフィックを複数拠点に分散させることで、特定のサーバーへの負荷集中を防ぐ役割を果たします。

通常の通信や攻撃データはエッジサーバーが一旦受け止め、不要なトラフィックを吸収・緩和するため、オリジンサーバーへの直接攻撃を遮断できます。その結果、サービスの安定稼働と高速な応答性を両立でき、突発的なアクセス集中や攻撃にも強い耐性を発揮します。

 

対策②DDoS対策専門サービスの利用

専門事業者が提供するDDoS対策サービスの活用も有効な手段のひとつです。これらのサービスは、攻撃の検知・防御・緩和に特化しており、自社に専門知識や専用設備がなくても、高度な防御体制を外部委託で構築できる点が大きなメリットです。

専用のインフラによって数百Gbps規模の大規模攻撃にも耐えられ、専門チームが常時監視・分析を行うことで最新の攻撃手法にも迅速に対応します。また、攻撃検知から遮断までを自動化できるため、セキュリティ担当者の負担を大幅に軽減できます。

結果として、サービス停止リスクの最小化と運用の効率化を同時に実現できます。

 

対策③マネージドサービスの活用

DDoS攻撃対策において、マネージドサービスの活用も効果的な手段のひとつです。マネージドサービスは、専門のプロバイダーが攻撃対策の監視・分析・防御運用を代行するもので、自社に専門知識や専任スタッフがいなくても高度な防御体制を維持できます。

プロバイダーは常時ネットワークを監視し、最新の脅威にも迅速に対応します。さらに、大容量の通信を処理できる専用設備(スクラビングセンター)を活用することで、攻撃トラフィックを除去し、正常な通信のみを通過させます。

その結果、業務停止を防ぎながらサービスを継続でき、自社の運用負荷を軽減しつつ、安定したセキュリティ体制を実現できます。

 

まとめ

DDoS攻撃は、企業の規模を問わず発生しうるサイバー脅威です。攻撃の完全な防止は困難ですが、早期検知と分散防御の仕組みを整えることで被害を最小限に抑えられます。

その中でもCloudbric WAF+は、AIエンジンを搭載した高度な攻撃検知とDDoS対策を組み合わせたオールインワンのセキュリティサービスです。Webサイトの可用性を維持しながら、ボット攻撃や不正アクセスを同時に防御することができます。

専門的な知識がなくても導入・運用が容易であり、中小企業から大企業まで幅広い業種で活用されています。公式サイトからお気軽にお問い合わせください。