クラウドセキュリティリスク

オンプレミス環境とは違うクラウド環境に適切なセキュリティ対策とは? まずクラウド環境向けWAFを導入すべき


総務省調査の令和得元年通信利用動向の「クラウドサービス利用状況」からみると、国内企業の64.7%がクラウドサービスを利用していると答え、導入効果については「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」のような応答が8割を超えています。企業システムのクラウドシフトによって変化しつつあるIT環境に必要とされるセキュリティ対策にも変化があるはずです。そのため、クラウド中心に変化したIT環境に最も適切なセキュリティ対策は何かを把握することが、クラウド導入の前後を問わず解決すべき課題だと言えるでしょう。そこで今回は、従来のIT環境とは違うクラウド環境の特殊性を理解し、クラウド環境に適切なセキュリティとは何かをお伝えしたいと思います。

 

クラウド環境の特殊性を理解したセキュリティ

Accenture の調査によると企業のクラウド移行を妨げる障壁として「セキュリティ」が挙げられています。

 企業はクラウド導入の際、新たなIT環境がサイバー攻撃者の浸透経路にならないよう、クラウド環境に適切なセキュリティ対策に取る組む必要があります。そのためには、まず従来のIT環境とは違う「クラウド環境のみの特殊性」を理解しなければりません。

責任共有モデル

AWS、Azure等のCSP(Cloud Service Provider、クラウドサービス企業)は安全なクラウド環境のために、様々なセキュリティポリシーやサービスをビルトインさせました。

しかしそれだけでセキュリティが担保できるとは言い切れません。CSPの提供するセキュリティサービスはクラウドセンター自体を守ることに限定され、クラウドにて仮想的に結合された顧客のシステムやデータまで保護するものではありません。

AWSをはじめとしたCSPは、クラウドの情報セキュリティに関して一般的に「責任共有モデル」という考え方を採用しています。これは、CSPとユーザ(顧客)で責任範囲を明確にし、全体のセキュリティを担保しようという考え方です。こちらのイメージをご覧ください。


引用:AWS 責任共有モデル

こちらのイメージは、AWSの「責任共有モデル」を示した図であります。イメージの上半分はユーザ(顧客)が担う責任部分、下半分のオレンジ色の範囲はクラウド提供企業(AWS)が責任を負うクラウドのセキュリティ分担です。ネットワークやコンピューティングなどクラウドプラットフォームに対するセキュリティの責任はCSPにあり、クラウド内部のデータ、OS、トラフィックなどに対するセキュリティの責任は顧客にあります。

つまり、クラウドにて結合されたシステムやデータなどにおけるセキュリティの主導権はユーザ側にあるため、ユーザ自らセキュリティ対策を厳重に点検し、どのようなセキュリティ対策を導入するかを決定する義務があるとのことです。

仮想化と分散処理技術

クラウド環境もオンプレミス環境と同じくアプリケーション、システム、ネットワークレベルに分けられます。そして、クラウドといっても実は、クラウド環境にて使用されているデータは最終的に物理的サーバ上に保存されます。このように、クラウドの基本的な構造はオンプレミスと類似ていますが、「仮想化と分散処理技術」によってユーザビリティを高め、更に柔軟性の高い環境にてデータを活用できるというクラウドならではの特殊性もあります。

つまり、クラウド環境は従来のオンプレミス環境に仮想化・分散処理技術を加えたもので、セキュルティ対策もクラウド環境の特殊性に対応できる形態が求められます。WAF導入の例を挙げて

簡単に言いますと、「仮想化と分散処理」ができるWAFが、クラウド環境に最も適切なWAFであることです。
WAFの他にも、クラウド環境のために考慮すべきセキュリティ要素は多い、これらもまたクラウド環境のみの特殊性を理解してからセキュリティ対策構築に取り組む必要があります。

 

クラウド環境に必ず必要なクラウド型WAFサービス

それでは、クラウド導入の際に、どのような領域のセキュリティを優先すべきでしょうか。こちらはクラウドをアプリケーション、システム、ネットワーク3つのレベルで分類し、レベルごとにセキュルティ重要度のランクをつけた表です。

この表をみると、アプリケーションレベルは最も脆弱で、最も攻撃されやすい領域であることが分かります。そのため、アプリケーションレベルのセキュリティを最優先し、クラウド環境の基本的な安全性を確保しなければなりません。

情報セキュリティ専門企業ペンタセキュリティはクラウド環境の特殊性に対する理解を基にクラウドセキュリティを実現する「Cloudbric WAF+」を提供しております。

Cloudbric WAF + : 5つの必須セキュリティサービスをクラウド環境にて提供

安全なクラウドシフトのために、多くの企業がクラウド環境のセキュリティに投資していますが、セキュリティ担当者不在、コスト、クラウドに対する理解不足などによって対策に踏み切れない問題を抱えています。このようなセキュリティ課題を解決できる簡単かつ安全なセキュリティ対策がCloudbric WAF+です。

Cloudbric WAF + はクラウド型でWAFサービスを提供するSaaS型WAFサービスであります。該当サービスにはWAF機能のみならず、DDoS保護、SSL証明書、脅威IP遮断、悪性ボット遮断まで、必須的なセキュリティサービスを1つのクラウドプラットフォームにて統合し、ユーザのクラウドセキュリティをサポートします。特に全ての要素がクラウドにて起動するため、別途の設置や、メインテナンス過程の必要なく、簡単に利用できるというメリットがあります。

 

最後に

企業のクラウドシフトは、今までより拡大していくと見込められますが、セキュリティに対する十分な理解のないITシステムシフトは、サイバー攻撃者らの浸透を簡単に許すリスクを抱えています。クラウドセキュリティのリスクをカバーするためには、クラウド導入に先立ち従来のIT環境とは違うクラウド環境の特殊性への理解を基に、必要なセキュリティ要素は何かを把握することが最重要ポイントだと言えるでしょう。

Cloudbric WAF+

クラウド型WAF

企業における現在のWebセキュリティ問題と、クラウド型WAFによる対策

現在はクラウドサービスをはじめとしたWeb上のサービス・セキュリティの進化が目覚しく、多くの企業がそれらのサービスを利用しています。一方で、企業の機密情報を狙うハッカー達によるサイバー攻撃も同じように巧妙・複雑化し、セキュリティとのいたちごっこが続いていて、情報漏洩をはじめとする多くの被害が、企業の規模を問わず発生しています。

本記事では、2020年に起きたサイバー攻撃の傾向と、国内企業のWebセキュリティが脅かされた実際の事例を紹介し、その対策となるWebセキュリティ対策についても見ていきたいと思います。

 

2020年のサイバー攻撃の傾向

2020年上半期にはコロナウイルスの世界的な流行があり、ハッカー達はそれに便乗して、各国の政府や医療機関をはじめ、膨大な個人情報や機密情報を持つ企業などを標的にサイバー攻撃を行うケースが急増しました。不特定多数にばらまくスパムメールだけでなく、特定の企業を標的としたランサムウェアによる計画的な攻撃が急増し、より戦略的で高額の身代金を要求する事件が多発する結果となりました。

特定の法人企業を対象としたサイバー攻撃の特徴として「侵入経路の多様化」、「クラウド環境特有の脅威」、「侵入後の内部活動の常套化」の3つが挙げられます。メールによる攻撃はもちろん、テレワーク環境への移行に伴い、VPNによる通信の際、正規のユーザのアカウント情報を入手して本人になりすまして侵入したり、VPN装置の脆弱性を悪用する方法で攻撃がおこなわれたり、Zoomのインストーラーにバックドア型マルウェアとボットが含まれたものなどが確認されています。Zoom自体は正規の物を利用して正常に使用できるだけに、サイバー攻撃であることに気付くのが難しいという特徴を持っています。

以上のように、コロナ禍によるテレワーク環境の弱点をついた、「末端である従業員のモバイル端末を狙った攻撃」と、「クラウドサービスを狙った攻撃」が激化しているのが現在のサイバー攻撃の特徴だと言えるでしょう。

 

国内企業のWebセキュリティが脅かされた最新の事例

2020年はコロナ禍によってテレワークでの仕事が広く普及しましたが、それと同時に多くの企業が自社のセキュリティ面を見直し、強化していくことを余儀なくされました。現在の企業の機密情報を守るセキュリティは、自社内のみのクローズドな環境で完結するわけではなく、会社から離れた遠隔地からでも仕事をおこなえる、オープンな環境作りが必要となっています。しかし、テレワークで仕事を行うという試みは、日本ではまだまだ始まったばかりであり、末端の従業員のセキュリティに対する意識も含め、日本のセキュリティ対策はまだまだハッカーのサイバー攻撃に狙われやすい、多数の穴が空いている状態だといって良いでしょう。実際に2020年は数多くのサイバー攻撃が日本企業を襲い、多数の被害が出てしまう結果となりました。ここでそれぞれの被害の具体例を紹介していきますので、今後の為の参考にしてみましょう。

・電子決済サービスの不正利用

2020年もっとも被害が大きかったのは、電子決済サービスの不正利用です。2020年9月、銀行口座の情報を不正に入手した犯人がドコモ口座を開設しその銀行口座と連携し、被害者を装うことによって銀行からドコモ口座にお金を不正に出金するという、セキュリティの穴を突いた方法で多額のお金を騙し取った事件です。

最初にこの手口が露見したのはドコモ口座ですが、その後PayPay、Kyash、LINE Payにおいても同様の不正出金が確認されました。この事件による被害総額は2,800万円以上と言われています。

・ゲームメーカーの顧客情報流出

2020年11月には大手ゲームメーカーであるカプコンが「Ragnar Locker」と呼ばれるランサムウェアによってサイバー攻撃を受け、およそ35万件もの顧客情報が流出したとされています。

ハッカー達は盗んだデータを暗号化し使えなくさせ、データの復旧と引き換えに多額の金銭を要求し、さらには内部の機密情報をインターネット上で暴露するという脅迫でもお金を要求するという、「二重搾取型」の攻撃であった点がこの事件の特徴です。

コロナ禍によってオンラインゲームの需要が高まってる中、ゲームメーカーはサイバー攻撃に狙われた際のダメージが大きいと踏んで、カプコンがハッカー達の標的にされたと考えられています。

・特別定額給付金を装ったフィッシング詐欺

2020年5月に10万円の特別定額給付金が給付され始める中、自治体を装ったメール、ホームページによるフィッシング詐欺が大量に発生しました。

フィッシング詐欺によってアカウントIDやパスワードといった個人情報から、クレジットカードの番号や口座番号などの情報まで引出そうとしたり、ATMを用いて手数料を騙しとろうとするなど、悪質な手口での詐欺が横行することとなりました。

 

クラウド型WAFとは

現在、上記したサイバー攻撃に対するWebセキュリティ対策として、「クラウド型WAF」のサービスが注目されています。軽くクラウド型WAFの説明を行うと、まずはじめに「WAF(Web Application Firewall)」とは、Webサイト上のアプリケーションに特化したファイアウォールのことを指します。ユーザーからの入力を受け付けや、動的なページを生成したりするタイプのWebサイトを、不正な攻撃から守ることが WAFの役割となります。

通常のファイアウォールと違い、アプリケーションレベルでデータの中身を解析することができ、アプリケーションにセキュリティ上の問題があったとしても、それを無害化でき、ISMS(組織内の情報の機密性、完全性、可用性の3つすべてをバランスよく管理するための枠組み)の実現や、PCIDSS(クレジットカード情報保護を目的として定められた、情報セキュリティ基準のこと)に準拠しているため企業の情報戦略面としても需要が高く、注目されていました。

そして、クラウド型WAFとは、その名の通りクラウド上に設置するセキュリティ対策ツールとなります。現在ではWAFといえば、このクラウド型WAFが主流となっています。それでは何故現在クラウド型WAFに大きな需要があるのか、クラウド型WAFのメリットと、利用する上での注意点を交えて紹介していきましょう。

・クラウド型WAFのメリット

クラウド型WAFはクラウドサービスであるため、通常のWAFよりも安価で導入することが可能となっています。またサービス契約後日を待たずして利用できるため、トラブルに巻き込まれた際すぐに問題に対処することが可能になっています。

そしてクラウドサービスの特徴として、運用をベンダーに任せることができます。社内でセキュリティの専門家を直接雇用する必要がなく、メンテナンスも一任できるため、運用面でも大きくコストカットすることが可能となっています。

・クラウド型WAFを導入する際に注意すること

コスト面と利便性において大きなメリットを持つクラウド型WAFですが、導入する際に注意することがあります。まず先述したようにベンダー側に運営を一任できることがメリットのひとつと書きましたが、裏を返せば自社が運営に干渉することはほとんどできないため、サービスの質はすべて契約したベンダー次第ということになります。ベンダーに運営を一任する以上、トラブル発生の際すぐに対処できる専門家の人数や対応範囲など、そのサポートの質がどれくらいなのかが選定の際に重要となります。

またクラウド型であるため、自社のシステムに合わせたカスタマイズを行うことが非常に困難となります。そのため少しでも自社のシステムに沿った形のクラウド型WAFサービスを選んで、契約することが求められます。

他にクラウド型WAFはベンダーごとに料金形態が異なります。トラフィック量に合わせて料金が増減するものや、固定料金の場合もあるので、性能やサービスの質などと合わせて考慮しましょう。

 

さいごに

2020年以降、コロナ禍とクラウドサービスの増加による、セキュリティ環境の変化を突いたサイバー攻撃の特徴と、その対策となるクラウド型WAFのメリット・デメリットと注意点を見ていきました。

クラウド型WAFは安価で導入のしやすいことから、これからのセキュリティ対策として非常に利用されるようになるサービスですが、その特徴をきちんと踏まえた上で、自社に最適なベンダー選びを行うことが求められます。今回紹介した事例と特徴を踏まえて、より最適なセキュリティ環境を構築できたら幸いです。

Cloudbric WAF+は企業向けにカスタマイズされたセキュリティサービスを提供します。クラウドから仮想専用サーバー、オンプレミスまでお客様のシステム環境に合わせて提供できます。

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