近年、大企業や公的機関を標的としたサイバー攻撃の被害が多数報告されています。多くの人々に影響を与える危険性が高い攻撃ですが、中でも、人命に直接関わる機関である病院を標的としたサイバー攻撃への対策が重要視されています。IT化の進んだ現在、病院でも数多くのIT機器やシステムが利用されており、それらに障害が発生すると業務に甚大な影響が想定されます。人命に関わる事故が起こる可能性も否定できません。そうした事情を受け、この記事では病院へのサイバー攻撃の事例や原因、対策について解説していきます。 病院を狙ったサイバー攻撃の実例 病院を狙ったサイバー攻撃には、どのようなものがあったのでしょうか。代表的な事例として、2021年11月頃に発生した事件があります。徳島県つるぎ町立半田病院がサイバー攻撃の被害に遭った事件です。患者の住所や診察履歴等が記録されていた電子カルテが使用できなくなり、業務に大きな支障が生じました。電子カルテが使えなくなったことで、診察にかかる手間が大幅に増えただけでなく、過去の通院歴や処方箋等も分からないため、患者への聞き取りや薬局等から得られる情報から診察を行っていたようです。半田病院によると、2021年10月31日未明、電子カルテに不具合が発生し、英語で「あなたのデータは盗まれ、暗号化された。」といったメッセージが印刷された書類が大量に印刷された、とのことです。それに伴い、電子カルテの一切が閲覧不可能になってしまったようです。システムの復旧に関しては、2022年1月4日より、電子カルテを管理するサーバーの復旧に伴い、通常の診療が再開されたと発表があります。実に2ヶ月もの間、診察業務に支障をきたしていたことにあります。この一連の被害は「ランサムウェア」の感染によるものとされています。 ランサムウェアとは?病院のシステムへの被害とは まず、「ランサムウェア」について解説していきます。大企業などで被害が多数報告されており、特に企業のセキュリティ担当者の方は、きちんと概要を理解して対策を講じる必要があります。 ランサムウェアとは […]